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私と"NON SOLO"
今回出したCD"NON SOLO"のレコーディングについては、先日録音してくれた高杉くんのレポートを載せましたが、今度は自分のきっかけや記憶を書いてみようと思います。なにしろこの頃とみに忘れやすいのですっかり忘れてしまわないうちに☆

もともとベースしか弾けず、それだってろくろくコードも知らず自己流で、それに歌だって70年代末期に「そうか私だってヘタクソだってなんだって歌っていいんだ」という「だってだって」だったから、バンドなしで歌うことはずっと心細いものでした。
音がスカスカになってるうえにたくさん弾きまちがって逃げ場がないんだもの。

それでもやむをえずというかソロで歌う機会もだんだん重なっていって、あるところから開き直ったと思います。
バンドでの演奏はメンバーとの相乗効果も予期せぬ展開もある。それはすごく楽しくエキサイティングでスリリングなこと。
一方ひとりでやるということは、曲を作るプロセスの「はじめ」や「経過」をさらけだすということ。なさけない自分やふがいない自分、そして時に夢や憤り。
なぜ作ったかなんて実はよくわからない。最初は小さなつぶやきだったものが、いつの間にか大声で歌っている。あるいはつぶやきのまま変わらない曲もあるのだけれど、人に聞こえるように歌わなくてはならない。

下手でも恥ずかしいなんて言ってられない。やってることじゃないですか。
歌い終わってうまくゆかずため息ついたって、それはもう自分でやったことじゃないですか。
自分の声でなく歌いたい歌もあるけれど、声を作ろうたって作りきれない。
透明に澄んだ声なんて、出ません、ええ。

でもひょっとして、ある曲がだれかの心に届くかもしれない。
同じような独り言をその体のなかにもっている人がいるかもしれない。
きっと、歌わないより歌ったほうがいい。

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そんなこんなで、歌詞集を作りたい気持ちも生まれながら、長いこと現実にはどうやったら作れるのかわからなかった。
今は自分で録音するのもかんたんなんだよと言われても、覚える気力も余裕もなかなか持てないでいました。

そしたら高杉くんと出会って、彼がやっていたバンドのことや彼自身のこれまでもほとんど知りませんでしたが、録音を喜んでやってくれるというので、これは舟や!乗るべさ!と一緒に漕ぎだしたわけです。ほんと、ひとりではこんなことできませんでした。

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歌詞集も、印刷するのにどのくらいかかるのかとか、出すための手順とか、実現のためのプロセスはとおーーくにあるようで漠然とした気持ちだけだったのですが、昨年ひょんな拍子で知り合ったバンドマンが印刷屋さんで、歌詞集にもいろいろ協力してくれるということで、なんかこの1年くらいの逡巡がCD+Song Bookという形にパタパタとまとまりました。ほんとにありがたいことです。

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んで録音は、仕事が休みの日に、レンタルスタジオで最初の日が4時間、2回目が3時間。(CDには収められなかった曲も数曲ありました。表現不足やミスやら。)
セッティングがすんだら、休憩をはさみながらただただ思いつくままに歌いました。
最初はやっぱり声がかたかった。でもだんだんリラックスしたと思います。

野外で撮った2曲は、とくに録音のために集まってもらったというのでは全然なく、そもそもは単純にお楽しみのためのキャンプだったのですが、外で、虫の声も入れながらなんか録りたいなぁとみんなに相談して、その日までに候補曲を3曲決めました。練習しなくても気を楽に一緒にできる曲。もう1曲は残念ながらボツになりましたが、夕方まで降っていた雨もやんで、録音できてよかった。でも湿気の多い夜の野外で、高杉くんは機材でずいぶん苦労したと思います。
1曲目に入れた「EARTH SONG」は、だいぶ前にも手持ちのアンコロン(今はアンクルンというのね)をお客に配って遊んだことがあるので、それの再現。それぞれ好きな音のアンコロンを選んでもらって自由に鳴らしてもらいました。
もう1曲の「ほいかん」は、歌詞集にも書きましたが昔聴いて記憶から離れないピグミーの子どもたちのコーラスを、似たようなリフにして繰り返してもらいました。夜が深まると虫たちの声もだんだん静まっていくので、ぎりぎり間に合ったという感じか。男声がちょっと少ないので、女のナオちゃんが「私そっちやる」と低い方に回ってくれました。
今となると他にも参加してほしかった人が星のように思い浮かぶのですが、急な日程でもあり、都合つかないということもありました。それはとても残念だけど。
ともあれ、いい気分でほろ酔ってた20代から60代がたまたまとはいえ共演してくれた、そんなこともひと夜の記録として音源になり、感慨深いです。

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ミックスの完成までには、高杉くんとパソコンでたくさんやりとりしました。
データをほとんど毎日送ってもらって、その都度私が感想を伝えて。
最初に私が伝えたことは「私の声とベースの音が近くにあるようにしてほしい、お腹のあたりにベースがあるその感じ」だったかな。
それから、曲によっては声にリバーブをかけようとか、後で太鼓的ななにかを重ねようとかという話もしましたが、結果的にはほとんどそういう味付けは皆無で(詳しくはなにかいじっているかもしれませんが、知るのは高杉くんのみ。スタジオの吸音についても彼は呟いていましたが私はあらそう、てな感じでスンマセン、今回のプロセスでは様々な苦闘があったと思います)可能なかぎり自然な仕上がりにしてもらったと思います。
「善でも悪でもない精霊」だけは自由に音をいじってくれ、と伝えました。ベースをきしきしと触りながらアカペラで歌ったのを、彼がベース音を増幅させて音界をこしらえました。
曲数が多いので、曲順もけっこう悩みました。どうやっても静かな歌が多いので、中頃で眠くなる人も多いと思います。

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歌詞集の方は、手書き文字にイラスト貼りつけた版下用紙を束にして送るという昔ながらのやり方で、スガワラ印刷さんもご苦労されたのではないかと思います。イラストの濃淡に加えて、修正液の跡とか猫の毛がくっついてるとか。たいへんお世話になりました。

繰り返しになりますが、そのように、信頼できる方々に助けてもらって、今回の"NON SOLO + Song Book"は完成しました。
現実に形になって私自身ほんとうに嬉しいです。
ちょっと安心したり、この私でいいんだと思えたり、距離は離れて生きていても、どこかのなにかが届いてくれればいいなぁと思います。

私と\"NON SOLO\"_c0147522_1848150.jpg

撮影:高杉大地
by nonband | 2014-10-22 18:43 | 活動報告 | Comments(0)
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